短波放射、長波放射、紫外線、可視光線、赤外線
- 2021年12月12日
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ここでもう一度表記の用語を整理しておこう。とくに赤外線についてはいろいろと混乱や誤解が散見される。万物の物体から熱放射という形で電磁波が発せられていることは先に触れた(こちら)。物体の温度が高いと放射線の波長が短くなり、温度が低いと波長が長くなる。地球上の熱のやりとり(熱収支)に深く関わるのが、太陽から届く放射と地球上の物体が発する放射で、前者を短波放射、後者を長波放射と呼ぶ。図は太陽の表面温度(絶対温度5778 K)と地球表面の平均温度(絶対温度288 K、約15℃)に対する波長別の放射エネルギーをピーク波長のエネルギーに対する相対値で表したものである。横軸が対数であることに注意。このように描くと、短波放射と長波放射はほぼ相似形となるが、単位面積当たりのエネルギーは前者が後者の14万倍も大きい(太陽表面1平方メートル当たりと地球表面1平方メートル当たりのエネルギーの比較)。図の上辺に記した温度と下向き矢印は、その温度においてエネルギーがピークとなる波長を示す。温度が下がるとピークが右(長波長)側に移ることが分かるだろう。
短波放射(日射)の中に紫外線、可視光線、近赤外線があることは先に紹介した(こちら)。図にはIEC国際電気標準用語集に従って、より波長の長い中赤外線と遠赤外線の領域も示した。同用語集では、近赤外線が0.78〜2μm、中赤外線が2〜4μm、遠赤外線が4μm〜1mmとしているが、この区分は学問分野ごとにかなり異なるので、あくまでも一例である。熱分野では中赤外線を設けずに、3μm以下を近赤外線、3μm以上を遠赤外線と二分して扱うことが多い。いずれにしても重要なのは、短波放射に含まれる近赤外線と長波放射の領域にある遠赤外線の性質が大きく異なることだ。例えば、ガラスは近赤外線に対して透明だが、遠赤外線は全く透過しない(不透明)。植物の葉は近赤外線をあまり吸収しない(反射・透過する)が、遠赤外線はよく吸収する。こうした性質の違いを考慮せずに、赤外線と一括りにして扱うと、大きな間違いを起こす。私がこのサイトで遠赤外線ではなく長波放射という言葉を使うのは、これが主な理由だ。
ちなみに紫外線は、UV-A(315〜400nm)、UV-B(280〜315nm)、UV-C(100〜280nm)の3領域に分けられる。この波長域の区分には学問間に大きな違いがないようだ。
紫外線、赤外線は、本来、紫外放射、赤外放射と呼ぶべきだが、ここでは慣用に従った。
