体感温度
- 2023年11月29日
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更新日:2024年6月17日
人の体と周囲環境との熱のやり取りを考えてみよう。人が温かさや暑さを最も感じるのは太陽の光(日射)ではないだろうか。寒いときの日射はありがたい温もりであり、暑い時の日射は避けたい熱源である。一方、身体の表面からは常に長波放射で周囲に熱が放出されている。日射(短波放射)による受熱と長波放射による放熱が放射による熱のやり取りだ。ちなみに焚き火や遠赤外線ヒーターなどの近くでは、放射による受熱も加わるので、温かく感じるだろう。
放射とは別に、周囲の空気と身体との間で、対流による熱の出入りがある。通常、体温は気温よりも高いから、温かい身体から周囲の空気に向かって熱が出て行く。このように温度差で伝わる熱を顕熱伝達という。温度という指標で熱の流れる方向や大きさが見える(顕在化する)から「顕熱」と呼ぶ。一方、身体からは汗腺を通って水蒸気が出て行く。この時に汗が蒸発して熱を奪う(「蒸発の潜熱」を参照)。この熱の流れを顕熱伝達に対して潜熱伝達と呼ぶ。顕熱伝達も潜熱伝達も空気の流れに依存するから、風が強いと対流による放熱が大きくなる。「風速が1メートル増すと体感温度が1度下がる」と言われるのはこのためだ。
このように身体の表面で起きる熱の出入りの結果、体感温度が変化する。近年、熱中症予防の指標として、暑さ指数が使われるが、これは体感温度を指数化したものである。暑さ指数は、黒球温度と乾球温度、湿球温度から求められる(詳しくはこちら、乾球・湿球温度はこちら)。黒球温度は黒いボールの中に温度計を差し込んで測った温度で、ボールに日が当たると周囲の気温より高くなり、風が強いと気温に近づく。黒球温度は古くから暑熱環境の指標として使われたが、潜熱伝達の影響をカウントできないから、乾球温度と湿球温度を加えて、より体感に近い指標としたのが暑さ指数である。