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遠赤外線ヒーターの秘密:遠赤外 vs 近赤外

  • 2021年12月12日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年4月29日

 遠赤外線ヒーターは効率よく身体に吸収されるから、節電効果も高いと言われる。赤外線ヒーターは放射で身体に直接熱を照射するから、空気を暖める対流式のヒーターよりも効率が良いのは理解できる。しかし赤外線の中でも、なぜ遠赤外線は効率が良いのだろうか。その理由は、金属以外のほとんどの物質が遠赤外線をよく吸収するからである。例えば、黒い衣服は可視光や近赤外線を吸収するが、白い衣服はあまり吸収せずにこれらを反射する(だから白く見える)。このため近赤外線ヒーターだと、服の色によって暖かさの感じ方が異なる。一方、遠赤外線は服の色や素材に関わらずよく吸収されるから効果的に暖まる。より極端な例は透明ガラスだ。ガラスは可視光や近赤外線を透過するから、近赤外線ヒーターでは暖まりにくい。一方、ガラスは遠赤外線をほとんど吸収するから、遠赤外線ヒーターならよく暖まる。“遠赤外線は身体の奥まで浸透するからだ”という説明を時折見るが、これは間違い(詳しくはこちら参照)。

 さて物理的な性質が大きく異なる波長域を一括りにして赤外線と呼ぶために混乱や誤解が生じている。このため私は遠赤外線をできるだけ長波放射と呼ぶようにしている(こちら参照)。最近、可視光の透過率は変えずに近赤外線の反射率をやや高めたハウス用のフィルムが出回るようになった。夏の昼間の高温対策用だが、“赤外線を反射するから冬の暖房時の保温にも効果”と謳う。そこでフィルムの長波放射特性(遠赤外線に対する性質)を測ってみたが、一般のフィルムと変わらなかった。同じような話が、窓ガラスに貼って夏の日差しを軽減する遮熱シートでもいくつかあるようだ。アルミなどの金属を利用すれば近赤外線と遠赤外線の反射率をともに高めることができるが、金属をフィルムに混ぜると可視光も反射してしまう。すべてを満足することはなかなか難しい。

 
 
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