細霧冷房
- 2024年7月10日
- 読了時間: 2分
街角でドライフォッグという細かい霧を出す装置をしばしば目にするようになった。細霧冷房と呼ばれ、園芸用ハウスや畜舎など、エアコンが導入できない場面で広く活用される。水が蒸発する時に周囲の空気から気化熱を奪うので、気温を下げることができる(「蒸発の潜熱」参照)。気化冷却の原理で、水を入れて使う家庭用の小型冷風機もこの原理を利用している。空気が乾くほど蒸発が盛んになるから、気温はより低下する。細霧冷房では、原理上、その空気の湿球温度まで気温を下げることができる。図に気温(乾球温度)35℃の空気の相対湿度と湿球温度の関係を示した。湿度100%では乾球温度と湿球温度は同じ値だが、湿度0%では湿球温度が約13℃まで下がる。乾湿球温度差が細霧冷房による気温の調節可能範囲に当たり、図に例示したように湿度50%では26.2℃から35℃までの8.8℃、同30%では21.6℃から35℃までの13.4℃である。湿度が高いとこの範囲が狭まり細霧冷房の効果は小さい。
さて細霧冷房では気温は下がるが、湿度は上がる。例えば、乾球温度35℃、相対湿度50%(湿球温度26.2℃)の空気を細霧冷房で乾球温度を27℃に下げると、相対湿度は94%まで上昇し、気温が下がっても蒸し暑さが増す。このため空気を冷却・除湿するエアコンに比べると、冷涼感はかなり劣る。日差しのない屋内を仮定して暑さ指数を比べてみよう(こちら参照、黒球温度=乾球温度と仮定)。冷却前の空気(乾球温度35℃、湿球温度26.2℃)の暑さ指数は28.8℃だが、冷却後(乾球温度27℃、湿球温度26.2℃)の指数は26.4℃とやや低下する。一方、エアコンで乾球温度27℃、相対湿度50%(湿球温度は19.6℃)に冷房したとすると、暑さ指数は21.8℃まで下がる。
もう一つ細霧冷房とエアコン冷房では決定的な違いがある。エアコンは閉め切った室内の空気を冷却できるが、細霧冷房は流れ込む新鮮な空気を冷やす。すなわち室内で細霧冷房を使用するなら、窓を開けて換気することが必須だ。体積1㎥の空気が含むことのできる水蒸気の量は多くても数十グラムである。この空気が水蒸気で飽和すると相対湿度が100%に達して、細霧を加えてもそれ以上は蒸発しない。窓を閉め切れば周囲からの受熱で気温が次第に上がり、蒸し風呂状態になるだろう。常に新しい空気を取り込んで蒸発を促すことで冷風を得るのが細霧冷房だ。屋外の日陰などに設置するのに最も適した仕組みと言える。
