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南北の暖房燃費を比較

  • 2022年1月17日
  • 読了時間: 3分

更新日:2022年4月29日

 日本列島の気温の南北間差は、夏に小さく冬に大きいという特徴がある。そのため冬のハウスの暖房に必要な熱量は南北で大きな違いが生じる。一冬の暖房費の目安となる指標として暖房デグリーアワーが用いられる。暖房デグリーアワーとは、外気温が室内の設定気温より低い時の内外気温差を毎時積算した値だ(図1)。燃料の消費量は暖房デグリーアワーにほぼ比例する。暖房機容量を求める最大暖房負荷と同様に(前項参照)、暖房デグリーアワーにハウス表面積と平均暖房負荷係数を掛けると期間暖房負荷が求められ、この値から燃料消費量を計算できる。

 暖房デグリーアワーを求める方法はいくつか報告されているが、ここでは三原(1978)による計算式を用いた。この計算式は外気温だけでなく日照時間も考慮して、より実態に近い値が得られると考えられている。全国5地点の値を比較すると(図2)、南から北に向かって値が増加するのがよく分かるだろう。関東の熊谷と九州の熊本の間の差は小さいが、東北の仙台、八戸、北海道の札幌の値は、熊本に比べて設定室温12℃の時にそれぞれおおよそ2倍、3倍、4倍に、また設定室温8℃ではそれぞれ3倍、5倍、7倍と大幅に増加する。

 これらの値を用いて各地の重油使用量と燃料費を見積もった(表1)。計算に用いた条件は以下の通り。

 ハウス(農ビまたは農PO)床面積:1000㎡、表面積:1200㎡

 2層カーテン(外側:農ビまたは農PO、内側:不織布)

 暖房機効率:0.85

 A重油発熱量:31.9 MJ/リットル

 A重油価格:85円/リットル

燃料価格は燃料の種類や購入量、市場相場によって変動する。ここでは85円/リットルと仮定したので、適宜、実際の価格に応じて比例換算してほしい。前夜温を12℃程度、後夜温を8℃程度に管理するトマトの場合、表1の2つの表の中間の値に、またキュウリでは下表(設定室温12℃)をやや超える値になるだろう。ちなみにイチゴだと上表(設定室温8℃)をやや下回る値と考えれば良いだろう。

 表2に農林水産省「営農類型別経営統計(H30)」(表2)による施設栽培3品目の経営収支を示した。この統計値は生産量の多い地域のデータを反映するので、表値は関東以西の施設生産の実態と考えられる。施設栽培では光熱動力費の大半が暖房燃料費で、室内設定気温が高いバラ、キュウリ、トマトの順に光熱動力費が大きいことがよく分かる。表1と2から、東北や北海道における施設栽培では暖房燃料費が増大し、所得を大きく低下させることが容易に推測できる。近年、北日本にも大型の加温施設が導入されているが、暖地と比較して暖房コストが経営上の大きな足かせとなることを認識しなければならない。今後予想されるエネルギー価格の上昇や地球温暖化防止に向けた対策を考えると、北国での加温栽培はさらに厳しい状況に陥るだろう。加温施設の安易な導入は控え、北国の涼しい夏を活かした作型を中心に展開すべきだ。





 
 
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