保温被覆による暖房熱量の節減
- 2022年5月11日
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1973年に始まった第一次石油ショックが、ハウスの保温や省エネ技術の発展に大きな影響を与え、数々のアイデアが提案・検証された。1970年代末からの第二次石油ショックがそれらの実証の機会となり、多くが精査されて今の保温カーテンを主とした技術体系となった。多重被覆やコモがけで保温する技術は古くからあったが、固定張りによる光環境の悪化や、開閉の手間などの欠点も多かった。室内カーテンのアイデアは、1960年ごろに日本の農家が発案したとされる。昼夜の環境条件にあわせて開閉できるから、アルミや不織布など不透明の資材も利用でき、暑熱下の遮光にも併用できる。実用的な保温技術として欧米にも広がり、英語ではinternal curtainやthermal screenなどと呼ばれる。
外張りのフィルムを2枚固定して張る場合は2重被覆と呼ぶのに対して、開閉可能なカーテンが1枚の場合は1層カーテン、2枚の場合は2層カーテンと呼ぶ。
夜間、カーテンのないハウス外張りの内表面には、室内空気との対流と作物や土壌面からの放射(長波放射)で熱が伝わる。カーテンを設置すると、空気層を2分して、対流による熱伝達が抑制される。この作用はカーテン資材の種類を問わないが、不織布やカラミ織テープ(例:LSスクリーン)などの透湿性資材は水蒸気を通すので、潜熱の移動が増えて保温性がやや低下する。カーテンは放射も抑制するが、その程度はカーテン資材の放射特性によって異なる。長波放射の透過率が大きい農ポリは、放射による熱伝達を十分に抑制できないので保温性に劣る。一方、長波放射の透過率が小さく吸収率(放射率)が大きい農ビや農POは、農ポリよりも保温性に優れる。長波放射の反射率が大きいアルミ系の資材が保温性に最も優れる。
暖房時の代表的な保温被覆の熱節減率を表に示す。熱節減率は暖房熱量を節減する割合で、この値を使うと、暖房熱量の計算に使う暖房負荷係数を以下のように表すことができる(こちら参照)。
暖房負荷係数 = 暖房負荷係数の基準値 ×(1 - 熱節減率)
暖房負荷係数の基準値とは、カーテンのない外張り1重被覆のときの暖房負荷係数で、農ビや農POハウスでは6.6 W/㎡ ℃を使う。
表の熱節減率は、各種資料を参考にして0.05(5%)きざみの値に整理したものである。様々な資材の組み合わせについては、こちらの資料を参照されたい。この資料は暖房負荷が最も大きくなる晴天夜間の状況を想定した模型実験で、様々な保温被覆資材の比較計測した値を掲載している。天候や室内の設定条件などによって数値は変わるので、資材間の大小関係を表す値と理解されたい。
