風呂とサウナの話
- 2022年3月31日
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更新日:2022年4月29日
50℃の風呂は熱くて入れないが、90℃のサウナには入れる。なぜだろうか?そこには温度の高低だけでは決まらない熱の仕組みがある。
人体が物に触ったときに熱いと感じるのは、その物(熱の媒体)が次のような状態の時だ。
1)人体よりも媒体の温度が高い
・当然、温度が高いほど熱さが増す。
2)媒体が保有する熱量が多い
・媒体の熱量が少ないと、熱を伝えてすぐに冷えてしまう。
3)媒体が熱を伝えやすい
・例えば、金属は熱を伝えやすい。50℃の鉄と木では鉄の方が熱く感じる。
風呂の温度よりもサウナの温度が高いから、1)の温度の高低ではうまく説明できない。2)と3)にヒントがある。風呂は水、サウナは空気が熱を伝える媒体だ。以下、概数で表すが、水の密度が1 g/㎤に対して空気の密度はおよそ0.001 g/㎤、両者の密度は千倍も異なる。また比熱は、水の約4 J/g℃ に対して空気は約1 J/g℃ である。1 ㎤の50℃の水と1 ㎤の90℃の空気がそれぞれ体に触れて、その熱が人に伝わる場面を考えよう。人の体温37℃を基準にして、50℃の水の熱量を求めると 1 ㎤ × 1 g/㎤ × 4 J/g℃ × (50-37) ℃ = 52 Jとなる。一方、90℃の空気の熱量は 1 ㎤ × 0.001 g/㎤ × 1 J/g℃ × (90-37) ℃ = 0.053 Jである。同じ容積で2)の保有熱量を比べると、50℃の水が90℃の空気に比べて千倍近く大きい。
また水や空気は体の表面に触れて対流の作用で熱を伝える。この作用は密度に依存するので、水の方が空気に比べて格段に熱を伝えやすい。3)の要件でも水が優る。
水は保有熱量が大きいので、人体に熱を与えても容易には冷えない。対流の作用も盛んだから、体の表面は次々に供給される熱で、一気に温度が上昇して熱く感じる。一方、空気は保有熱量が小さいから、人体に熱を与えるとすぐに温度が下がる。熱を伝える対流の作用も弱いので、体表面に近い空気の温度は体温に近づく。70〜80℃の湯がわずかにかかるだけでも火傷を起こすのに、ヘアドライヤーの100℃を超す熱風で火傷しないのも同様だ。