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日傘ならぬ放射傘

  • 2020年9月10日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年12月11日

 最近、熱中症対策に日傘が注目されている。日傘は太陽の直射を防ぐことで、体表面温度を下げる。木陰や建物の日陰が涼しいのも、日傘と同様の日除け効果だ。一方、霜が降りたときに、木の下だけ霜がないことに気づいた方はいないだろうか。放射冷却を木陰が緩和したのだ。風がなく良く晴れた夜に外に出ると顔が冷たく感じるだろう。このときに傘を差すと、わずかだが冷たさが緩和されるはずだ。一度、試してみてほしい。ただしこの実験には無風が必須条件だ。風によって顔が冷える作用をおさえないと、傘の効果が分からない。

 実はこのような効果を畑でも見ることができる。夏の昼間の暑熱を防ぐのに遮光ネットや寒冷紗が利用される。これは日傘と同じだ。このような資材を冬の夜に利用すれば、作物の霜よけとなる。詳しくは別の項目で紹介する。

 先人は巧みな技も編み出した。今はほとんど見かけなくなったが、私が若い頃にはまだ養蚕のための桑畑が山間に残っていた。桑は長く伸びた枝を刈り取って葉をカイコに食するから、地上から1mも達しないところで丸刈りにされる(「桑畑」でネット検索して画像を見てほしい)。秋の終わりに埼玉県の秩父地方で見かけた桑畑は、その丸刈りの頭の上に、1本だけ長く伸びた枝を残していた。すべての木が同じように長い枝を残している。この枝には頂芽も残っている。これで謎が解けた。なるほど、これが昔どこかで聞いた霜よけだ。頂芽は後から芽を吹く脇枝よりも早く葉を展開する。桑の芽が吹く頃はちょうど晩霜の季節である。頂芽が先に葉を広げて、放射傘となって、カイコの餌になる枝葉を霜から守るわけだ。霜でいたんだ頂芽の葉はこれで放射傘の任務を終え、1本だけ残した枝は切り取るらしい。残念ながらこのとき写真を撮っていなかった。どなたかこのような桑畑の写真をお持ちなら紹介してほしい。

 
 
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