湿り空気線図で辿るフェーン現象
- 2025年12月27日
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フェーン現象は、近年、頻発する記録的な高温を引き起こす原因の一つだ。湿った空気が山を越えると、風下では乾いて高温の空気に変わる。その仕組みには潜熱が関わる(潜熱についてはこちら)。空気が山の斜面を上ると気圧が低くなるので、空気は膨張して気温が下がる。気温の低下割合は、水蒸気の凝結を伴わないときに、高度100mの上昇あたり約1℃で、これを乾燥断熱減率という。一方、水蒸気の凝結を伴うときは、凝結の潜熱で気温低下が緩和され、100mあたりおおよそ0.5〜0.6℃となる。これを湿潤断熱減率という。
図1に標高0mで気温30℃、相対湿度70%の空気が標高2000mの山を越えるときの様子を示した。最初は凝結を伴わないので、100mあたり1℃で気温が低下し、標高600mに達すると気温24℃、相対湿度100%になる。これより上では水蒸気が凝結し始め、雲が生じる。仮に湿潤断熱減率を0.5℃/100mとすると、標高2000mの頂上では、気温が17℃まで低下する。その後、空気は下降するが、そのときに雲などの水滴が蒸発しないと仮定すると、以降は乾燥断熱減率で気温が上昇し、標高0mまで下ったときは気温37℃、相対湿度32%となる。
この様子を湿り空気線図(こちら参照)で辿ったのが図2だ。①風上:標高0m(水色の丸)が出発点。最初は水蒸気圧が変わらないまま左に水平移動。飽和水蒸気圧線にぶつかった点(②風上:標高600m)で、乾燥断熱減率が終了。気温が6℃低下したので、600mまで上昇したことがわかる。その後は飽和水蒸気圧線に沿って、気温も水蒸気圧も低下。湿潤断熱減率を0.5℃/100mと仮定すると、気温17℃の点が頂上(③頂上:標高2000m)。山を下るときは乾燥断熱減率で右に水平移動。気温が20℃上昇した点が④風下:標高0m(赤色の丸)。このように湿り空気線図を使うと、大雑把ではあるが、フェーン現象の気温や湿度の変化を辿ることができる。

