北極や南極が寒いわけ
- 2025年10月28日
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「北極や南極が寒い理由は?」と尋ねると「太陽から遠いから」と答える人が結構いる。確かに赤道と比べると北極・南極は地球の半径に相当する距離だけ太陽よりも遠い。しかし地球の半径はおよそ6400km、太陽と地球の距離(およそ1億5千万キロメートル)に比べれば無視できる大きさだ。ではなぜ寒いのか?そこには幾何学が関与する。
地球に到達する太陽光のエネルギーは、地球の大気圏外では1平方メートルあたり約1.37kWで、これを太陽定数と呼ぶ。地表面に到達するまでに大気で吸収散乱されるので、地表近くでは最大で1平方メートルあたりおよそ1kW程度である。ただしこれは太陽光に直角な面(法線面)が受け取るエネルギーである。地表面に対して太陽光が斜めに差し込むと、図のように光を受け取る面積が拡大する。面積が拡大するから、単位面積あたりのエネルギー量が減少する。法線面の面積を1としたとき、水平面の面積は1/cos(入射角)で表される。したがって水平面日射量は次式で与えられる。
水平面日射量 = 法線面日射量 × cos (入射角)
これをランベルトの法則(余弦則)といい、光学でよく使われる関係である。ここで、入射角とは水平面に垂直な線と太陽光とがなす角度で天頂角とも呼ばれる。
太陽が真上(天頂)にあれば入射角が0度、cos(0度)は1だから、水平面日射量は法線面日射量に等しい。一方、太陽が水平線にあるときは入射角が90度、cos(90度)は0だから、水平面日射量はゼロとなる。太陽が赤道上にある春分や秋分には、北極、南極における太陽高度は0度(入射角90度)で、太陽から直接届く水平面日射量はゼロとなる(空や雲に反射して地表面に届く散乱光はあるが)。北半球で太陽が最も高くなる夏至でも、北極における入射角は66.6度(太陽高度23.4度)だから水平面日射量は法線面日射量の約40%である。
このように高緯度地域では太陽光の入射角が大きく(太陽高度が低く)、低緯度地域に比べて地表面が受け取るエネルギーが小さい。このことが北極や南極が寒い主因である。一日の気温変化や季節による気温変化も、太陽高度の変化が主な原因である。一日の中で太陽高度が最も高いのは太陽が真南に来るときで、この時を南中時という(時計の正午とは異なる)。南中時の太陽高度は次式から求められる。
南中時の太陽高度 = 90度– 緯度 + 赤緯
ここで赤緯は天体の位置を表す値で、天の赤道を0度、天の北極を+90度、天の南極を-90度とする。太陽の赤緯は、春分・秋分に0度、夏至に+23度26分、冬至に-23度26分である。北緯39度42分の盛岡の場合、太陽高度は春分・秋分に50度18分、夏至に73度44分、冬至に26度52分となる。
