ハイブリッド暖房におけるヒートポンプ容量の割合
- 2024年6月12日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年7月30日
前項に記したように、ヒートポンプは設備費が高いので、石油暖房機を併用する。図1にハイブリッド暖房の運転イメージを示す。設計上の最低外気温が現れる冬の一日に、青線のように気温が経過したとしよう。室内設定気温と最低外気温との差を保つことができる暖房容量が最大暖房負荷で、図では総暖房機器容量と記した。ヒートポンプをその約3分の1の容量、石油暖房機を残りの容量とし、ヒートポンプを優先運転すると、ヒートポンプは赤影部を、不足分(青影部)を石油暖房機が対応する。影部の面積が、ヒートポンプと石油暖房機それぞれが供給する熱量に比例する。この一日を見る限り両者の供給量は同程度である。青線は冬の最も寒い日の例だから、大半の日はこれよりも外気温が高い。例えば青色の破線のように気温が経過したら、一日中、ヒートポンプだけで暖房を賄うことができる。小さい容量のヒートポンプで、できるだけ多くの時間帯をカバーするように、ヒートポンプの容量を決めるのが、ハイブリッド暖房の設計のポイントだ。ではハイブリッド暖房で、ヒートポンプの容量をどのくらいにすれば、冬期間の総暖房熱量の何割をヒートポンプで賄うことができるのだろうか。図2は、これを推定するためのグラフだ。
横軸の平年月平均内外気温差とは、暖房期間の月別の平均気温(平年値)と室内設定気温の差を月ごとに求めて、それを平均した値だ。月別の平均気温(平年値)は、最寄りのアメダス観測点から得ると良いだろう。埼玉県の熊谷アメダスを例にすると、月平均気温の平年値は、11.7℃(11月)、6.5℃(12月)、4.3(1月)、5.1(2月)、8.6(3月)、13.9(4月)である。室内設定気温を10℃とすると、11月と4月の気温は室内設定気温より高いから、これらは計算に入れない。12月から3月までの内外気温差を求めると、それぞれ3.5℃、5.7℃、4.9℃、1.4℃となり、その平均値は3.9℃と求められる。
グラフの右縦軸は、総暖房機器容量に対するヒートポンプの機器容量の割合を示す。グラフには10%から60%までの6本の線を引いた。横軸の値をまっすぐ上方にたどり、この線と交差した点を左軸で読むと、冬期間の総暖房熱量に占めるヒートポンプの供給熱量の割合を求めることができる。例えば、平年月平均内外気温差(横軸)が4℃で、ヒートポンプ機器容量の割合(右縦軸)が30%だと、ヒートポンプの供給熱量の割合は約75%と推定される。また平年月平均内外気温差が8℃の地域で、総供給熱量の90%をヒートポンプで賄うとしたら、ヒートポンプ機器容量の割合を50%弱にしなければならないことが分かる。
なおこのグラフから求められるヒートポンプ供給熱量の割合は、控えめ(やや過小)な推定値である。すなわちグラフでヒートポンプ供給熱量の割合が75%と求められたら、実際には80%前後と考えて良いだろう。なぜならばヒートポンプの機器容量を、最大暖房負荷(最低気温)が観測される日を基準に決めているからだ。最大暖房負荷が現れる時は、内外気温差が最大になるだけでなく、空がよく晴れて放射冷却も大きくなり、ハウスからの放熱が特に大きい。曇天や雨天の日など放射冷却による放熱が小さい日も多くある。このような日にはヒートポンプで賄える時間がより長くなる。
図2のグラフは町田・岡田(2017)の論文から作成した。詳しく知りたい方はこちらを参照ください。

