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保温カーテンの使い方

  • 2022年7月1日
  • 読了時間: 3分

 可動式のカーテンには農ビや農ポリなどの透明フィルムのほか、アルミフィルムや不織布、綿状繊維など、様々な資材が使われる。表裏の特性が異なる資材もあり、2層や3層カーテンでは種類の異なる資材を組み合わせることも多い。その際、どちらの面、どの資材を内外に用いるかによって保温力が異なる。保温効果を高めるポイントは、“保温力の高い資材や面を外に使う”だ。その理屈をアルミフィルムの1層カーテンを例にして説明しよう。アルミフィルムは、プラスチックの薄膜にアルミを蒸着し、蒸着面にプラスチックや不織布をラミネートして作られる。このため、通常、フィルムの表裏で長波放射特性が異なる。ラミネートしたプラスチックが長波放射を透過しない(吸収する)と、人の目には反射に見えても実は反射していない。人の目に見える可視光の場合、アルミ面に黒いフィルムを貼れば、アルミ面が見えなくなることを容易に理解できるだろう。長波放射でも同じだ。実例を示すと、全面アルミのLSスクリーンの長波放射特性は、アルミが光って見える表面の反射率が0.7(放射率は0.3)に対して、裏面の反射率は0.3(放射率は0.7)程度である(著者測定)。

 さて説明を容易にするために、一方の面が反射率100%(反射面)、他方が吸収率100%(吸収面)という極端な資材を仮定しよう。長波放射の場合、吸収率と放射率が等しいから、放射面では向かい合う面からの長波放射を吸収するとともに、自らも同時に長波放射を放射(放出)する。一方、反射面は反射率が100%だから、吸収率も放射率も0%となる。従って長波放射を吸収も放射もしない。反射面の作用を理解するには、長波放射を反射するという性質よりも、長波放射を吸収しない、放射しないという性質に注目すると良い。

 晴れて放射冷却が強い寒い夜の無加温ハウスを想定しよう。暖房しない無加温ハウスでは天空への放射冷却の影響で外張りの温度が外気温よりも低くなる。1層カーテンの外面はこの冷えた外張りとの間で長波放射を交換する。外張りの温度の方がカーテンよりも低いから、差し引きカーテンから外張りに向けて放射で熱が移動する。一方、カーテンの内面は、室内の作物や地面との間で長波放射を交換する。カーテンの温度の方が作物や地面よりも低いから、差し引きカーテンは室内から放射で熱を受け取る。これが普通の放射熱交換の図式だが、反射資材の場合、その様相が変化する。

 反射面を外に向けると、その面は長波放射を吸収も放射しないから、自ら放射で冷えることはない。一方、内側の吸収面は室内からの放射熱を吸収する。外には放射熱を出さず、内からは放射熱を受け取るのだから、カーテンの温度が高く維持される。カーテン下の室内気温も当然高くなる(図左)。これとは逆に反射面を内に向けたらどうなるだろうか。内側の反射面は長波放射を吸収しないから、室内からの放射熱を受け取らない。一方、外側の吸収面は外張りとの間で長波放射を交換し、温度の低い外張りに放射で熱を奪われる。外に放射熱を出して、内からは放射熱を受け取らないから、カーテンの温度が低下する。従って室内気温も下がる(図右)。暖房したハウスでも同様で、反射面を外に向ける方が保温力に優れる。

 2層カーテンの場合も、反射性資材を外側に、吸収性資材を内側に使うのが良い。農ビや農POなど吸収率の大きい資材と、農ポリのような透過率の大きい資材を組み合わせる場合も、長波放射の熱交換で保温性の違いを考えられる。透過性資材が外側だと、内側にある吸収性資材が外張りと直接放射で熱交換するため、逆の組み合わせに比べて内側カーテンの温度が低くなる。このため保温力の高い吸収性資材を外に使う。より詳しい情報は、各種資材の保温性を理論的に解析した論文(こちら)を参考されたい。


 
 
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