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太陽高度の季節変化を利用する栽培

  • 2025年11月17日
  • 読了時間: 2分

 今から40年も前だが、研究調査のために訪れたトマト農家K氏のアイデアとそれを実践した栽培に多くを学んだ。K氏はトマトの半促成栽培に取り組んでいた。秋の初めに播種してポットで苗を育て、12月初旬に定植し、2、3月から6月ごろまで収穫を続ける作型だ。南北連棟ハウスでは、畝方位も棟に合わせて南北とするのが普通だが、K氏は畝方位を東西にしていた。さらに畝間を135cmとして、ハウスの柱の間に2畝を植え付けるために、柱の間隔を270cmに広げたハウスを新たに建設した。そのきっかけは育苗に使っていた東西棟のパイプハウスで育てたトマト(東西畝)が、本棟の南北畝のトマトより1週間以上早く収穫が始まったことがヒントだという。

 太陽高度の低い冬の間、南北畝だと朝夕の太陽光が隣畝の株に遮られて、日中の短い時間しか光が当たらない。しかもその時間帯はかなりの光が通路に落ちてしまい、せっかくの強い光をトマトが十分に利用できていない。東西畝の方が、光をより効率的に利用できるのではないかと考えた。太陽高度は冬至に最も低く、南中時におおよそ30度だが、半促成栽培ではこの時期、まだトマトの丈は低い。トマトの丈は次第に高くなって、春分のころには180cmくらいに達するが、南中時の太陽高度も55度くらいに上昇する。草丈の伸長と太陽高度の上昇を考慮して、太陽の南中時に一つ南に隣接する畝の株の影がかからないように畝の間隔を求めると135cmになった(図参照)。一般的な畝間90cmの南北畝に比べて再植本数は減るが、一株あたりの収量が増え、大玉も多いので、全体としては増益だという。

 このトマト群落の太陽受光率を解析したところ、冬至から春分までは、東西畝の方が南北畝よりも受光率が高かった。とくに日射が強い南中時前後に東西畝の受光率が高くなった。詳細についてはこちらの論文をご覧ください。


 
 
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