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根を冷やすとトマトも甘くなる

  • 2025年11月14日
  • 読了時間: 2分

 根が冷えて吸水が止まると、菜っぱが甘くなることを前項で紹介した。では根を冷やせばトマトも甘くなるだろうか。ホウレンソウなどの菜っぱ類に比べて、トマトの根の吸水はより高い温度で止まる。品種によって多少異なるが、その温度はおおよそ12℃だ。そこでトマトを水耕栽培して、養液の温度を12℃に冷やしてみた。図1に示すように、養液温度の12℃と20℃ではトマトの生育が歴然と異なり、12℃で吸水が抑制されることがよく分かる。収穫した果実の糖度や味の違いは明らかだった(図2)。暑い夏の栽培でも12℃の養液では糖度(Brix)が7度以上に上昇したが、20℃養液、同じ温室の土耕栽培、市販品はいずれも5度前後であった。食味テストでも甘さ、味の濃さ、旨さでは12℃養液が高い数値を示した。非常に興味深いことは12℃養液の酸味が低いことだ。一般に乾燥や塩ストレスによる高糖度トマトの場合、甘さともに酸味も上昇し、時にはエグ味などが増すこともある。これに対して根を冷やした高糖度トマトは甘いけれどさっぱりした味が特徴と言える。

 研究所での試験栽培を経て、11℃の伏流水が湧く園芸会社のハウスの一角を借りて実証栽培を行なった。そこで得られた栽培のノウハウを以下に記す。

 一般的な高糖度トマトの栽培では、第1果房の果実がピンポン玉くらいのサイズになったときに、灌水の抑制や塩の添加で吸水を抑制する。根を冷やし始めるタイミングも同じようにこの時期だが、それ以前の栽培法が糖度上昇に大きく影響することがわかった。

 セル苗を直接養液栽培ベッドに移植して育てると、生育が旺盛になって根も大きく繁茂する。根の量が多いため上記のタイミングで根を冷やし始めても、吸水量が大きくは低下せず、糖度も上昇しにくい。移植後の水温を制御して生育を抑制することも可能だが、生育や天候を見ながらの管理は難しい。最も簡単な方法として、セル苗を一旦ポットに移植して灌水を控えめに育て、第1果房が見え始める頃に苗を養液ベッドに定植することを勧める。


 
 
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